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●セルバンテス短編集
●セルバンテス 著、牛島 信明 訳
●岩波文庫 375ページ
●初版 1988年
『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスの残した短編から4編が選ばれています。
第1話 「やきもちやきのエストレマドゥーラ人」
第2話 「愚かな物好きの話」
第3話 「ガラスの学士」
第4話 「麗しき皿洗い娘」
このうち、第2話 「愚かな物好きの話」は『ドン・キホーテ 前篇』に挿入されています。
いずれも、短編というより中編にあたいする分量のものがたりですが、読みやすい訳と巧みなストーリー展開により、あっという間に読み終えてしまいます。
第1話は六十八歳の老齢の紳士が十三、四歳の娘をめとり、やきもちやきゆえに召使らとともに自宅に幽閉するものがたり。
第2話は妻の貞節を証明するため、親友に妻を誘惑するように説き伏せる物好きな青年の不思議なものがたり。
第3話は自分の体がガラスでできているという狂気にさいなまれた学士のシュールな運命をえがいたものがたり。
第4話は天使のように麗しい旅館の皿洗い娘をとりまく男たちと彼女の不思議な出生の秘密のものがたり。
どの話も読みやすく、語り口も軽妙で楽しめる内容ですが、第2話 「愚かな物好きの話」と第4話 「麗しき皿洗い娘」がとても良くできたストーリーになっています。
特に第2話 「愚かな物好きの話」は夏目漱石の『行人』の模範となったそうなので、漱石ファンのかたも楽しめるのではないかと思います。
セルバンテスは、夏目 漱石だけではなく、シェイクスピア、ドストエフスキイ、ジョイスなどにも影響を与えたとされていますので、それだけでも興味深いです。
第2話だけでも十分に楽しめると思いますので、だまされたと思って読んでみてください。
今週から、ココは「お手」の練習を始めました。
「お座り」、「伏せ」、「お手」をひととおり理解はしているようですが、
おやつ欲しさに気があせり、ちょっと混乱しているようです。
「お座り」、「伏せ」、「お手」がそれぞれ別の動きになるまで特訓は続きます。
映画『オーシャンズ』での残酷なフカヒレ漁で海底に沈んでいくサメは実はロボットを使ったそうです。
監督曰く、「あんな残酷な現実を撮影するはずないだろう」だそうです。
確かに・・・
asahi.com の記事から
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201001150291.html
また、イルカの群れを追う映像は、トーピード(魚雷の意味)というカメラ機器で撮影したとのこと。イルカの群れの先頭に留まり高解像度カ メラで撮ることに成功したそうな。
また、深海では有人では限界ともいえる深海5,486メートルでの撮影に最新の潜水艦と探索ロボットを使用したそうです。
●行為と妄想
● 梅棹 忠夫 著
●中央公論新社 343ページ
●初版 2002年
本書はもともと日経新聞の「わたしの履歴書」に連載された記事をもとに、大幅な加筆訂正を加え2002年に文庫として出版されたものです。
梅棹 忠夫氏といえば、国立民族学博物館の初代館長を勤め、1994年には文化勲章を、1999には勲一等瑞宝章受章を受賞された日本でも最高峰の学者です。
この『行為と妄想』は、その梅棹氏の自伝です。
幼少期の昆虫採集、旧制中、高時代の登山や探検、京都帝大時代の山岳会での活躍などプライベートな一面と、戦時中のモンゴル調査や万国博での活躍、国立民族学博物館設立などの学者としての功績が時系列にそって語られます。
『知的生産の技術』、『文明の生態史観』、そして最近では『日本文明77の鍵』といった著書で梅棹氏のユニークな視点に大いに興味を持ちましたが、これらの著書が生まれた背景を知ることができ、さらに興味を抱きました。
そして、これらの著書をはじめ、氏のさまざまな功績は、猛烈なスピード感と圧倒的な行動力の産物であることがわかりました。
偉大な功績を残しながら、これらの功績を自慢することもなくさらりと語っているところは心から尊敬してしまいます。
最も印象的だったのは、『荘子』の「櫟社の散木」(れきしゃのさんぼく)という節です。
大工の棟梁がマサカリをかついだ弟子をしたがえて祠(ほこら)のそばを通りかかった。祠の後ろには巨大なクヌグ(櫟)の木がおおい茂っていた。棟梁はその木に見向きもしないで通り過ぎてしまった。後を追いすがった弟子が「こんな立派な木は見た事がない、なんでこんなりっぱな木を切らないで通り過ぎるのですか」とたずねたところ、棟梁は「ばかものめ、あの木はなんの役にもたたないから切られずにあんなに大きくなったんじゃ」という話。
梅棹氏はこの「櫟社の散木」のようにひとの役にはたたずに好きなことをして生きていきたいという。
大きな功績を残したにも関わらずこの謙虚さはいったどこから来るのだろう。
漢字が少なく、平易な日本語で文章を書く梅棹氏の著書はどれも読みすいが、そんなところにも謙虚さと思いやり、優しさがうかがえる。
これからも少しずつ梅棹氏の著書を読んでいこうと思う。
目標は『梅 棹忠夫著作集』全23冊・・・
<wikipedia : 梅棹 忠夫>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%85%E6%A3%B9%E5%BF%A0%E5%A4%AB
午後は代休をもらって家族4人で夕方から映画『オーシャンズ』を観にいきました。
あらゆる海洋生物のありのまま姿を捉えたドキュメンタリー映画です。
ほとんどが海とともに生きる生物の話なのですが、後半では漁のシーンが出てきます。人間の登場です。
すばらしい映像だけではなく、人間の残虐性という現実を映画に取り入れることにより全体のバランスが取れているようにも思えます。
ただ、人間も生きていくために漁をしているわけで(そうでない場合もあるが)、残忍性だけを強調するのはどうかと思った。
小さな子供にも理解できるすばらしい映画でした。