2010年3月20日土曜日

【読書】人間の絆(上)

●人間の絆(上)
●W.S.モーム 著、行方 昭夫 訳
●岩波文庫 433ページ
●初版 2001年

『月と六ペンス』と同様にW.S.モームの代表作のひとつです。

右足に障害をもって生まれた主人公は、幼くして両親を亡くし、伯父のもとで少年期を過ごします。

障害があるがゆえに、どんな少年よりも多感で、傷つきやすい少年期を過ごします。

多くの人との出会いを通じて学び、
自らの進むべき道について悩み、決断し、行動し、青年へと成長していきます。

牧師である伯父の後を継ぐために学業に邁進しますが、宗教への懐疑的な思いから、無心論者に転じ、会計士への道へと進みます。

しかし、サラリーマン生活の退屈さや、会計士としての適正がないことに気づき、自分のもうひとつの可能性である芸術の世界に思いを馳せて芸術の都パリで絵画を学びはじめます。

パリでの画学生としての生活は充実したものである一方で、失望も多く、人間関係にも多くの悩みを抱えます。

そして大人へと成長してゆきます。

上巻では、主人公の幼少期から少年期、少年期から青年期にいたる心の葛藤と成長が見事に描かれています。

モーム自身の自伝的小説ということもあり、

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