●ボヴァリー夫人(上)
●フローベール 作、伊吹 武彦 訳
●岩波文庫 192ページ
サマーセット・モームがあげる世界の十大小説のひとつボヴァリー夫人。その上巻を読み終えた。
約100年前のフランスの田舎町が舞台で、まずは夫となるシャルル・ボヴァリーの生い立ちから始まる。
頼りなくも母の望みどおり医師となるボヴァリー青年。
彼の最初の結婚と不幸な別れ。そして、主人公であるエンマ(エマ)との出会いと再婚までが淡々と描かれる。
フローベールは写実主義を確立した人だそうで、道理で微に入り細に入り心象や情景の描写が綴られる。その観察力と表現力には脱帽します。
医師の妻という恵まれた環境にありながら退屈で満たされないエンマの心は禁じられた恋への入り口へと向かってゆきます。
そして、物語に少し退屈してきたところでドラマの予感が訪れます。
しかし、ここまで192ページ、なんと長い前置きなんだろう。
ボヴァリー夫人より先に退屈に耐えかねると思った矢先に訪れる物語の展開。
流石は世界の十大小説に数えられるだけあって、まるで読み手の心をも手に取るように物語が進行する。
そしてすかさず下巻を手に取ったのであります。
下巻はなぜか263ページ、上巻より70ページ多くなっている。
訳者はなぜここで巻を区切ったのか、その謎解きをしながら読み進むのもなかなか楽しい。
--- つづく ---
2009年8月4日火曜日
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