2009年12月27日日曜日

【読書】ドン・キホーテ〈後篇3〉

●ドン・キホーテ〈後篇3〉
●セルバンテス作、牛島 信明 訳
●岩波文庫 399ページ
●初版 2001年

とうとうドン・キホーテも最後の1冊に来てしまった。読み終えるのがちょっと寂し気がする。

後篇3では、サンチョの島の統治の顛末、窃盗団の首領 ロケ・ギナールとの出会い、銀月の騎士との戦いと敗戦、故郷への帰路の旅、ドン・キホーテの最後が語られる。

特にロケ・ギナールとドン・キホーテの機知に富んだ会話は読みどころであり、その後のバルセローナに向かう道中の会話も楽しめる。

銀月の騎士との一騎打ちで敗北を喫したドン・キホーテが惨めに帰路につくところは哀愁に満ちているがとても愉快な旅である。

故郷に戻ったドン・キホーテはほどなく病に倒れ、サンチョ、司祭、ニコラス親方に見守られ、最後は正気に戻り
死を迎える。

死の間際で、ドン・キホーテは自らの狂気を認め、騎士道物語が不埒な書物であり、自分を危険に陥れた張本人であることを認める。

最後の最後まで読者を虜にし、最後には大きな同情の念を抱かせて物語は幕を閉じます。

前篇、後篇あわせて約2,500ページの大作ですが、読者を飽きさせることがなく、次から次へと楽しい物語が展開してゆくドン・キホーテでした。

見事な結末にゆっくりとページを閉じるのでありました。

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