2010年4月18日日曜日

【読書】お菓子と麦酒

●お菓子と麦酒
●サマセット・モーム 著、厨川 圭子 訳
●角川文庫 342ページ
●初版 2008年

モームみずからがもっとも気に入った作品のひとつだそうですが(たぶん)、登場人物の名前がややこしいのと、現在進行形と思い出話が交錯するプロットが複 雑で、理解するのに苦労しました。

自分の読解力不足を痛切に感じました。10代の頃のほうがもっと物分りが良かっただろう・・・。

フォントや活字の大きさに慣れないのも読むのに苦労した理由(言い訳)です。

余談ですが、・・・最近は岩波文庫ばかり読んでいたので気がつかなかったのですが、角川文庫は紙質があまりよろしくないですね。

ちょっと読書家ぶってみました・・・。

あらすじは以下の解説のとおりです。


長老作家ドリッフィールドとその妻ロウジー。同郷で少年時代を過ごした主人公にとっては特別な想いがあった。亡きドリッフィールドの栄誉を称え伝記を書き たいと友人に協力を依頼されたのをきっかけに、今はもう誰も知らない二人の本当の姿―奔放で変わり者だが、愛嬌に溢れ人々を魅了する男女の姿を、ひとり回 想してゆく。モームが最愛の女性をモデルに、風刺や批評を交えて彩り豊かな物語に仕立てた、愛すべき名作。

解説にあるとおり、モームが最も愛した女性を描いた小説で、女性の主人公の描写としては最高傑作だとされています。

華美な写実をもちいることなく、とても自然な言葉で女性の美しさを描写しています。

本編の真の主人公といえるロウジーの自由な生き方、性的に無軌道で、あけっぴろげな生き方を暖かい眼差しで捉え、彼女の周辺で起こる事件ををユーモアを交 えて語っています。

彼女の夫、長老作家ドリッフィールドのモデルが、トマス・ハーディーというのも皮肉屋のモームらしいです。

『人間の絆』のような深い感動はありませんが、読み終えた後に爽快な気分にさせてくれます。

0 件のコメント: