●モーム短篇集(下)
●モーム 著、行方 昭夫 編訳
●岩波文庫 366ページ
●初版 2008年
モームの晩年(60~70歳)に記された短篇12話を収録しています。
上巻と同様に、モームの人間不可知論が展開されます。
「人間は相互に矛盾する要素をたっぷり持つ複雑な存在であり、首尾一貫した人などいないのだ」というものです。
登場人物は、お偉方、俗物、オールドミス、漁夫、弁護士などとさまざまです。
いずれも、モームの人間に対する鋭く暖かい眼差しを感じる作品ばかりです。
単行本のカヴァーにペルシャ絨毯が使用されているのは、長編 『人間の絆』 で主人公(および作者モーム)が到達した人生観 「人生には意味はない。人生はペルシャ絨毯のようであり、それぞれが自分の模様を織り成すもの」に由来していると思われます。
それぞれの模様を絨毯に織り込んでゆくというのは、この短篇集の登場人物達にも共通して言えることです。
2010年4月12日月曜日
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